信用情報とは、クレジットやローンの契約や申し込みなどの信用取引に関する情報のことで、客観的な取引事実を登録した情報です。個人信用情報機関では、個人の信用情報を管理することで支払い能力に対して適切なクレジット契約を実現したり、クレジット・ローン取引の促進をしたり、消費者の多重責務や自己破産の未然防止をしたりする役目があります。
では、法人にもこのような信用情報機関は存在するのでしょうか?
結論、存在します。法人の信用情報も個人と同様に開示請求可能です。ただ、信用情報機関が「日本信用情報機構(JICC)」に限定されます。
本記事では、国内唯一の法人信用情報機関である「日本信用情報機構(JICC)」で登録される情報の解説や、個人信用情報機関で法人信用情報を照会する方法についてご紹介します。
法人信用情報の開示請求を行えるのは日本信用情報機構(JICC)のみ
日本信用情報機構(Japan Credit Information Reference Center、略称:JICC)は、貸金業法に基づく指定信用情報機関として金融庁から指定されている機関です。
JICCには自社割賦業者、信用保証業者、リース業者等さまざまな業種の企業が加盟しており、金融機関や各種クレジット関連企業間での信用情報の共有を目的としています。
個人信用情報機関としての機能のみ持つ「全国銀行個人信用情報センター(JBA)」「CIC」とは異なり、個人・法人両方の信用情報を管理している点が特徴的です。
JICCに登録される法人情報とその登録期間とは?
法人情報としてどのような情報が登録されているのか、その登録期間とともにご紹介します。
法人を特定するための情報
- 法人名
- 代表者名
- 所在地
- 電話番号等
登録期間
- 契約内容に関する情報等が登録されている期間
保証人に係る本人を特定するための情報
個人信用情報機関では、「個人を特定するための情報」のみが管理されていましたが、法人信用情報機関の場合は「法人」「保証人」のそれぞれを特定するための情報が管理されています。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 電話番号
- 勤務先
- 勤務先電話番号
- 運転免許証等の記号番号等
登録期間
- 契約内容に関する情報等が登録されている期間
契約内容に関する情報
- 登録会員名
- 契約の種類
- 契約日
- 貸付日
- 契約金額
- 貸付金額
- 保証額等
登録期間
- 契約継続中及び完済日から5年以内
返済状況に関する情報
- 入金日
- 入金予定日
- 残高金額
- 完済日
- 延滞等
登録期間
- 契約継続中及び完済日から5年以内
(ただし、延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内)
取引事実に関する情報
- 債権回収
- 債務整理
- 保証履行
- 強制解約
- 破産申立
- 債権譲渡等
登録期間
- 当該事実の発生日から5年以内
(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内)
申込みに関する情報
- 保証人に係る本人を特定する情報
(氏名、生年月日、電話番号及び運転免許証等の記号番号等) - 申込日
- 申込商品種別等
登録期間
- 照会日から6ヵ月以内
最短2時間での資金調達!クラウドでオフィスに居ながら楽々資金繰りは【うりかけ堂】
個人と法人で信用情報機関への登録期間に違いはある?
契約情報や返済状況等、照会できる情報は個人信用情報として開示する場合の項目とおおむね変わりありません。
では、登録期間はどうでしょうか?
こちらもおおむね変わりませんが、「契約内容」「返済状況」「取引事実」に関する情報について、主に契約終了日と完済日のどちらを起算日とするかという点で異なります。
詳細の差異は下記の通りです。
契約内容に関する情報
個人信用情報として開示する場合
- 契約日が2019/9/30以前の場合:契約継続中及び完済日から5年を超えない期間
- 契約日が2019/10/1以降の場合:契約継続中及び契約終了後5年以内
法人信用情報として開示する場合
- 契約継続中及び完済日から5年以内
返済状況に関する情報
個人信用情報として開示する場合
- 契約日が2019/9/30以前の場合:契約継続中及び完済日から5年を超えない期間
(ただし、延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間) - 契約日が2019/10/1以降の場合:契約継続中及び契約終了後5年以内
法人信用情報として開示する場合
- 契約継続中及び完済日から5年以内
(ただし、延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内)
取引事実に関する情報
個人信用情報として開示する場合
- 契約日が2019/9/30以前の場合:当該事実の発生日から5年を超えない期間
(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間) - 契約日が2019/10/1以降の場合:契約継続中及び契約終了後5年以内
(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内)
法人信用情報として開示する場合
- 当該事実の発生日から5年以内
(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内)
法人信用情報の開示を申し込む方法
上記のような法人信用情報を開示したいと思ったら、どのような手続きを踏めば良いのでしょうか?
ここかは、最新の情報に基づいて情報開示の申込方法を説明します。
現在は郵送手続きのみ可能
法人信用情報の開示を申し込むには、法人代表者または法人代表者からの委任を受けた代理人のいずれかが手続きをする必要があります。
2023年4月現在、利用できる開示手続きは「郵送のみ」となっています。
元々は窓口手続きも可能でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大予防に伴い休止となっています。また、個人信用情報の開示手続きにはスマホアプリを利用した手続き方法もありますが、法人信用情報の開示には対応していません。
手続きには必要書類と手数料が必要
開示手続きを行うためには以下の書類が必要です。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)または代表者事項証明書
- 法人代表者の本人確認書類
- 信用情報開示申込書(BL(法人)代表者)
また、代理人が申請する場合には、さらに「所定の委任状」「法人の印鑑登録証明書」が追加で必要となります。
開示手数料は1,000円(税込)がかかり、速達や本人限定受取郵便といった郵送オプションを利用する場合には別途料金が必要となります。
申込書類を送付後、1週間から10日で開示書を受け取ることができます。
また2023年4月現在、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う開示サービスの業務縮小により、通常より時間がかかる場合があるとのことです。情報開示が必要な場合は日程に余裕をもって手続きを行うようにしましょう。
最短2時間での資金調達!クラウドでオフィスに居ながら楽々資金繰りは【うりかけ堂】
個人信用情報機関で法人信用情報機関を照会する方法
冒頭に述べたように、法人信用情報機関は日本信用情報機構(JICC)の1つしかありません。
しかし、個人信用情報機関である全国銀行個人信用情報センターとCICにおいても、法人信用情報を照会することができます。
代表者が連帯保証人となる
全国銀行個人信用情報センターとCICでは、連帯保証人の情報は照会が可能です。
そのため、法人の代表者が連帯保証人となることで、個人信用情報として掲載されることになります。
この場合、法人代表者の個人信用情報を確認することで、契約・返済・滞納などに関する信用情報の状況を把握することが出来ます。
法人と個人の信用情報の区別がなくなるため、法人代表者としてだけでなく、個人の信用情報についても融資に不利な情報が記録されないよう注意する必要があります。
まとめ
本記事では、「日本信用情報機構(JICC)」で登録される法人信用情報の解説や、個人信用情報機関で法人信用情報を照会する方法について説明しました。
法人として融資審査が必要な場合、法人だけでなく個人信用情報の状況にも気を付けるようにしましょう。また、開示手続きは時間に余裕をもって行うことを忘れないようにしてください。